メープルのワークデスクのオーダー制作 机部分の組み立て
前回の記事は、机の袖机の本組み調整をご紹介しました。
今回は机部分の加工、組み立てを詳しくご紹介したいと思います。
前回の記事はこちら から。
目次
机の部分の加工、組み立てをしていきます
机も板組になります。
奥行きが70センチと大きいので接合部分をどのようにするのか悩みましたが、天板をクリアにしたかったのでここでも包みあり組み継の技法を使います。奥行があるので若干加工が難しかったです。
包み蟻組み継ぎという技法を使いで天板と側板(片側の脚)の接合をします
組手の仕口の部分はしっかり墨付けをします。墨付けがしっかりしていないとどこを加工したら良いのか分からなくなります。先の尖った少し硬めの鉛筆で隅線を引きます。加工の際エッジが欠けない様に隅線の上から毛引や白書きで切り込み線を入れておきます。
包み蟻組み継ぎの加工はメスがオスに納まる形になります。オス側が削る量が多いので大半はルーターを使って加工を行います。通常の蟻組にように突き抜けない蟻組なのでルーターをかけるときに深さを設定しておきます。プランジルーターを任意の深さで止まるように設定して削っていきます。
蟻組の加工は墨線通りに行います。順序としてメスを先に作り、メスを型にしてオスの墨付けをします。この方法を生け取りと言います。オスメスお互いに定規で測って予め隅線を引いて加工した場合、さまざまな理由でズレれしまう可能性があります。鉛筆の線の太さだけでも誤差が生じます。メスの加工の時に切り損じてしまうこともあります。
生け取りならメスのアウトラインのコピーなのでズレの可能性は少なくなります。生け取りしたオスを加工する際は隅線を残すように加工していきます。隅線を越してしまうと隙間ができてしまうので慎重に作業します。
ストレートのルータビットで粗削りして、エッジの部分は鑿での手作業になります。
このとき使用する鑿は通常鎬鑿(しのぎのみ)を使いますが、当工房では更にエッジのきいた三方刃鑿を使います。鎬鑿は刃の際の部分に深い角度が付いていて蟻の隅の方まで鑿の刃が届きます。更に三方刃鑿は際の部分も刃になっているので更に深く攻めることができます。
蟻の角度は板の厚みにもよりますが、当工房では概ね74度に決めて加工しています。
直角から測ると16度傾くことになります。それだけの角度が付くので通常の追い入れ鑿の場合エッジに届きません。
蟻組のオスとメスを調整していきます
機械や手加工を終えてオスメスの嵌め込み調整をします。
多少きつめに調整しているので入らない部分を少しずつ削って嵌め込んでいきます。どこがきついのかを何度も確認しながら調整します。きつすぎると割れてしまうので入り口はスッと入り、最後はショックレスハンマーで叩き程よい力で入るくらいが理想です。
もう一つの脚は吸い付き蟻桟という方法で加工します
ハンドルーターで蟻桟の溝(メス)の加工をします。
蟻溝を入れる際は専用の蟻ビットを使います。蟻ビットは形がテーパーになっている為、ストレートビットの様に段階的に伸ばしながら加工する事はできません。蟻ビットで段階的に削っていくと溝の側面が段々になってしまします。そうならない為任意の深さに設定して一気に削る必要があります。深く削る場合は抵抗が大きいのでゆっくりルーターを動かして削っていきます。
定規を当ててずれないようにルーターをかけます。蟻溝は入り口が広く奥が狭くなるように加工します。その誤差は樹種にもよりますが概ね0.3ミリ〜0.5mミリ程と僅です。その差を作る方法は1度蟻溝を掘った後、定規の手前側のみごく僅にずらし再度ルーターをかけます。手前と奥の幅をデジタルノギスで測り誤差を確認します。
蟻溝ができました。この溝にオスの蟻を入れていきます。
蟻溝は奥が狭いので最後の方はキツくなるのでショックレスハンマーなどで叩き込んで入れます。
入れ始めからきつい場合はオスを少しずつ削り追い込んでいきます。感じとして溝の3分の2ほどはスーッと入ってだんだんきつきなっていくのが良いと思います。最後は叩き込む感じです。
本組みをしていきます
接合部分に糊を入れてクランプで圧締めしていきます。
糊がどんどん乾いていくので急いて作業します。
通しホゾの部分は割りクザビを入れます。
後は綺麗に仕上げ、塗装して完成です。
次の記事はこちらから。
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