キッチンボードの制作 製材、板矧ぎ、加工、組み立
先日お納めしたキッチンボードです。アイランドキッチンの背面の壁面に設置すように制作させていただきました。2セクションに分かれています。向かって右がキッチン側、左がリビング側です。大きなキッチンボードなのでたくさんのものが収納できます。すでにお納めしたのですが、制作中慌ただしかったのでなかなか記事にできませんでした。制作の備忘録として制作工程をまとめてみました。
木取りの記事はこちらから
目次
木取りした木材をプレーナーをかけて綺麗に製材します
木取りが完了したら木材の表面を綺麗に削って整えるプレーナーがけの作業をします。プレーナーとはカンナのことで、木工機械のカンナ盤を使います。
カンナ盤には大きく分けて2種類あり、手押カンナ盤と自動カンナ盤です。どちらも仕組みは同じなのですが、使い方と形状が異なります。
まずは基準面を出すために手押しカンナ盤をかけます。基準面とは基準となるまっ平な面のことです。基準面が整ったらその裏側を自動カンナ盤で整えます。均一な厚みと平行な面に仕上げます。
プレナーをかける際、なるべく薄くならないように長い部分に使う木材は反りが少ないものを選びます。今回2.55メートル飛ばす木材は実際使う量よりも多く仕入れました。木材自体が高額なので使う分ギリギリで仕入れたいところですが、反りなどで取れない物も混ざっている事を想定して必要量の倍くらいの量を注文しました。その中で反りの少ないものを選び手押し鉋をかけます。反りの様子を見ながら反対面を自動鉋でかけます。急にたくさん削ると反りやすいので様子を見ながらゆっくり削ります。
手押しカンナ盤で基準面を整えます。長いものは受け先に補助ローラーを置きます。
基準面を基に厚みと平行面を整えます。
横矧ぎをして木材の幅を出していきます
製材した木材は幅を出すために横矧ぎします。通常仕入れる木材の幅は12センチから30センチくらい物もがランダムに送られてくることが多いです。そのため幅を広くする時は、板同士を横に繋げて板の幅を広くします。板の木端同士を繋げることを矧ぐ(はぐ)と言います。矧ぐ際ジョイントする部分にジョインを材を入れて幅を広げます。その代表的な方法がビスゲットジョイナーを使う方法です。ビスケットジョイナーとはビスケットチップというジョイン材を入れる為の溝を掘る専用の機械です。とても簡単に溝を掘ることができる優れた機械です。ビスケットジョイナーで加工した溝に接着剤とビスケットチップを入れてクランプで圧着します。幅が広い場合は何枚もこの方法で繋げます。
ビスケットジョイナーの記事はこちらから
薄い板を矧ぐ際はジョイント材は入れずにそのまま矧ぎます。その方法をいも矧ぎと言います。板が薄い場合クランプで締めつけた際、クランプの強い圧力で板が反ってしまします。その反りを抑える為に、写真のように板の外側に添え木を別のクランプで固定ます。固定した添え木がバックアップとなり、クランプで締めつけても板の反りを抑えられます。また、ジョイント材を入れていない為、目違いが出やすいのですが、添え木が板を挟み込む為目違いを無くす効果にもなり一石二鳥です。
クランプはいくらあっても足りません。中古でも良いので信頼できるメーカの物を見つけては購入しています。
蟻組などの組手の加工をします
板同士て家具を作る際、組手の部分は蟻組で制作することをお勧めしています。手間がかかる分費用もかかりますが、蟻組は勾配が付いているので、締めながらしっかり組まれます。家具自体の剛性が上がるのと同時に、意匠的にも見応えのあるものになります。
蟻組の調整はゆるくもなくきつくもなく木に大きな負担がかからない程度のきつさに調整します。
ゆるいと弱くなってしまい、逆にきついまま叩き込むと割れてしまいます。最初きつい状態にしておいて、少しずつ削って無理の無いきつさになるように調整します。削っては嵌めての繰り返しをして調整します。
蟻組の記事はこちらから
クランプを使い組み立てていきます
蟻組や他の組手の加工調整が完了したらいよいよ組み立てに入ります。
組み立ては慎重に行います。きつい部分は削ってっ調整してゆるい部分は薄板を貼ったりしてきつくします。
組む順番などもあるので、間違えないように何度も仮組みをしてシュミレーションします。特に今回のキッチン側のデザインはコの字を伏せたような複雑なデザインなので、組み方を間違えると入らなくなってしまいます。組み立てる際一気に組み立てないでセクションを決めて部分的に組み立ます。複数人数がいれば一気に組み立てることは可能ですが、自分のように1人で作業する場合は、一気み組むのは時間がかかります。モタモタしているとボンドが乾いたり、ボンドの水分を吸って膨張してホゾや組手がキッチリ入らなくなってしまいます。このようにならないために、セクションごとに組んだもの同士を繋げる組み方をします。
まとめ
大型で大変な作業ですが、一つ一つ丁寧に制作しました。
今回初めて飛騨高山のクルミの木を使いました。色味は褐色が濃く硬めの印象です。白太が厚いのがちょっと難点でしたが、木が硬いので多少手荒く扱っても凹みや傷がつきません。通常のクルミは柔らかいため、製作時凹まないように気を使います。
製作中、建築士hm+architectsの伊原さんとも相談してより良く改善をしながら作業を進めました。今回初めて建築士さんが携わっての制作です。勉強することが多くあり良い経験になっています。
追い込みで調整や仕上げの写真を撮りたかったのですが、バタバタで撮れず次は納品の記事になります。
関連情報
無垢の木で作るオーダー家具工房|WOOD STUDIO KUZE'S(ウッドスタジオクゼーズ)
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